あんこの話〜何が男をあんこ作りに誘うのか〜

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50歳にして加速するあんこ愛

あんこの話、させて下さい。

あんこ好きなんですよー。50歳を超えて、ますます好きになってますからね。

何ならお酒の量は劇的に減って、反比例するようにあんこの消費量がこれまた劇的に増えているという。一昔前の「九州の男」像からすると、かなり裏切る男となっております(笑)。

しかも、ここ半年くらいは自分であんこを炊くほどのハマりようなんです。なんでそこまで? きっかけは、20代の頃の大阪にあります。

あんこ好きの原点、割れた大福の断面

奇跡の出会い「大判焼き」

実は、若い頃はこんなにあんこが好きじゃなかったんですよね。好きとか嫌いとかじゃなく、興味すらなかった。やっぱり若いだけに洋菓子に目移りして、チョコレートだとかカスタードクリーム、生クリームだとか。

そんな私に、大きな大きなきっかけが訪れたんです。

20代の後半、大阪に住んでいました。

そこで偶然見つけたんです、めちゃめちゃうまい「大判焼き」のお店を。知り合いの紹介やうわさではなく、ネットなんか当時の私は無知で無用でしたから、本当に偶然の出会いでした。

「大判焼き」はみなさんご存知ですか。福岡では「回転焼き」「回転まんじゅう」、他に関西では「太鼓まんじゅう」とか「御座候」とか、ねっ、ですよね。

そんなことはさておき、その「大判焼き」です。

大阪市の千林商店街の少し外れにある「しんたろう」というお店で、詳しいことは検索してもらうことにして(今なお健在です)、持ち帰り専門の“いか焼き”と「大判焼き」が主力商品。ちなみに“いか焼き”も特筆し難いくらいのおいしさなんですが、今回はあくまで“あんこ”がテーマなので、泣く泣く割愛です。

形はよくある円柱形ではなく、どら焼きのような丸型。

値段は80円(当時価格)という超下町価格。にもかかわらず、あんこはやや水分多めでとろ〜りと柔らかく、つぶあんというか煮豆のような感じさえします。独特の甘さが後を引きます。外の生地も優しい甘みがありほど良い噛み心地で、これまた柔らかくてしっとりという感じ。生地にあんこが少し滲みているのがたまらなくおいしい。

いか焼きの生地がおいしいんだから、大判焼きの生地もおいしいはずでしょう。

当時は毎回、妻と2人で計8個買うじゃないですか。帰り道に歩きながら1個食べ、2個食べと止まらず、結局2人で3個ずつ食べて、4個目は食べ過ぎやろうということで仕方なくストップ。自宅に着くと2個しか残ってないという有様でした。もちろん焼き立てもおいしいんですが、次の日に冷蔵庫で保存していたものでもおいしいという、無敵っぷりの「大判焼き」でした。

その後は毎回10個以上は購入してましたけど‥。

深まるあんこ愛

おりしもこの頃、仙台にあるローカルスーパー「スーパーさいち」のおはぎが話題になって(食べたことないですが)、それが全国に派生し、色んなスーパーの惣菜売り場におはぎが並ぶようになりました。

パックに入ったおはぎ三個

私も「これは」というものがあれば食べました。そこで味をしめてからは、デパ地下のあんこものにも興味を持ち、高級っぽい和菓子店をまわったりして、大福とまんじゅう1個ずつ、どら焼きとクリームどら焼き1個ずつ、とかセコい買い方をしながらも食べ比べをたま〜にですがやってました。あんこ好きは少しずつですがステップアップしていったのではないでしょうか。

二つに割ったクリームどら焼き

もちろん今でも、あっちこっち食べ比べを楽しんでますけど(笑)。

結婚してからは、妻がまんじゅうやお団子など和菓子系が大好きで、知らず知らずあんこを目にしたり触れたりすることが多くなりました。食べ比べも妻と一緒にやることで加速しました。これがまぁ飛躍的にあんこ好きになった大きな原因でしょうね。

福岡に移住してからも、あんこ好きは継続です。

福岡は、大阪や神戸より地域の和菓子屋の割合が高いように感じます。ラーメン屋やうどん屋、焼き鳥屋と並んで和菓子屋が多いんですよ。しかも個人経営で昔からやっているような、着飾らないお店。和菓子屋というよりまんじゅう屋と呼んだ方がしっくりくる感じ、わかります?

おいしいお店は挙げればきりがないくらいあちこちにありますが、強いて言えば太宰府の「梅ヶ枝餅」なんかが有名です。参道のあちこちのお店を、何回も食べ比べしました。どこもおいしい。

太宰府の梅ヶ枝餅

どれも焼きたてで、熱さと香ばしい風味があんこと餅のおいしさを倍増させるんですよね。お店ごとの味は大きく変わらないように思うのに、何であんなにお店によって人気の差がつくのか、あんなにシンプルなものがなんであそこまでおいしいのか、不思議で仕方ありません。

いつまでも輝く「大判焼き」

こうして整理してみると、掘り下げはしませんでしたが、あんこの記憶は、さらにさかのぼればもっとたくさんあるんですよね。

幼い日の婆ちゃんの手作り蒸しまんじゅうや隣近所の恒例の餅つきでもらったおはぎ。妻とよく行った京都の豆餅、神戸の御座候、高級スーパーのおはぎやどら焼き…。

それでも、いまだに私の記憶でキラキラと輝いているのは、大阪「しんたろう」の「大判焼き」です。いくら食の街・福岡とはいえ、あれを超えてくるあんこには、まだ出会えていません。悪い意味ではなく、半ば諦めのようなものです。

だったら、自分で作ってみてもいいんじゃないか。

自家製あんこって‥作れるんだ

そんな頃、とある料理のYouTubeを見て、時間はそれなりにかかるけれど、そんなに難しくはないと知りました。

それまでは、小豆を調理するんだから前日から水に浸けておいて、火加減など炊くポイントももっと面倒なんだろうと思っていたんです。ところが、水に浸けておく必要もなく、火加減の調整なんかの小難しいこともなし。半日くらい時間があれば作れると、初めて知りました。

これがねぇ、自分で言うのもなんですけど、おいしいんです。というか、誰でも手順を踏めば、それなりのあんこが作れちゃう。しかも自家製だから味の調節もできる。甘さをだいぶ抑えた微糖のあんこもできるんですよ。市販のあんこは、保存の問題もあるじゃないですか。やっぱり売り物ですしね、多少は甘ーくしておかないと売れないんでしょう。

調子に乗って、この夏は水ようかんを作ったり、こしあんに挑戦してみたり。あんこ好きの母親にお裾分けしたりと、なかなか楽しんでおります。

水ようかんは、小豆を炊いてこしあんにして、寒天を溶かし込んで冷やして‥と手間がかかるわりに、食べるのはあっという間。つるんつるんとすぐ無くなってしまう。水ようかんってはかない食べ物なんだと、作ってみて初めて知りました。

では、何が一番おいしかったと思います?

もちろん水ようかんもおいしかったんですよ。けど、ちょっとはかない(笑)。

答えは“あんトースト”です。

バターを塗ったパンとあんこをのせたトースト

パンもあんこもぐぐぐーっとおいしくなるし、なによりも手軽。ちなみに“あんマーガリントースト”も肩を並べるおいしさで、マーガリンが付くとコクと甘みが前に出て、さらにおいしい。マーガリンがなくても、それはそれでシンプルでスマートにおいしい。

アイスクリームもいいですよね。断然バニラ、抹茶もイケます。不思議とチョコやコーヒー、イチゴ味だと合わないんですよ。それらのフレーバーに負けてしまうんです。きなこ味は合うでしょうね、今度やってみよ。

ただしっ!あんこといえば、やっぱりお餅ですよね。そりゃそうだ。大福、お汁粉、おはぎ…歴史も古いだろうし、実際どこでも売られている人気ものです。

ただ、お餅は太るんですよねーっ。うちの妻は無類のお餅好きなんですが、今年の初めに私の母親から大量のお餅の差し入れがありまして。パクパクパクパク1日3食、夢のようなお餅生活を送った結果、案の定太りに太ったといった塩梅です。それからは、ウチではお餅禁にしております。なので、あんこを炊いても、いちばん相性のいいお餅とは食べられていません(笑)。

別にイイですけどね、私も太りたくないので。

何が男をあんこ作りに誘うのか

あの大判焼きのあんこのおいしさには、決して届かない。再現なんてできるわけがないとわかっています。それでも、少しでもあの片鱗に触れられるんじゃないか、と思いつつ炊いているんですね。ちょっとオーバーにクサく言うと、こんな感じです。

でも、もっと本音で言うなら、意外にも簡単にできてしまうあんこ作りが、ただただ楽しい。食べてくれる妻や母が「おいしい」と言ってくれる。その満足感に尽きます。「いつか自分の手であの味を再現する」なんて、大それたことは言えません。

もうひとつ言うならば、あんこの食べ比べを続けるなかで、福岡や九州にとらわれることなく、新たなおいしいあんこに出会えたらいいな、と思っています。欲を言えば、あの大判焼きを超えるあんこに出会える日がくればと、願ってやみません。

みなさんは、どんなあんこの思い出がありますか。ベタにあんぱんですか。おはぎ? どら焼きもいいとこのやつはやっぱりおいしいですよね。回転焼きも、街の中にひっそり、とんでもなくおいしいお店がまだまだ潜んでいそうです。

よかったら教えてください。

大阪・千林商店街の「しんたろう」の店先

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