夜にあつまる男達〜夜勤はつづくよどこまでも〜

仕事

ホームは1ヶ所じゃない

障害者グループホームと言っても、施設は1ヶ所だけではない。法人が借り上げた一戸建てやアパートの一室など、複数の物件がある。世話人は毎回あちらこちら、その日の受け持ち場で働くことになる。

どのホームも基本は二名体制の夜勤。

事業を始めてまだ間もないらしく、とにかく新人が多い。仕事の「大枠」はどのホームも同じだが、「小枠」が微妙に違う。物の置き場所、間取り、設備の位置──細かいところがホームごとにバラバラなのだ。「覚えられるかいっ!」と思う。でも、働き出してしまったのだからしょうがない。

各ホームでは、研修担当の社員さんについてもらい、一か所につき二回ずつ一緒に夜勤に入る。勤務はメイン一名・アシスト一名のスタイルで、両方とも新人だと、引き継ぎを兼ねて計四名(しかも、ほぼ三十〜五十代の男ばかり)で夜勤をすることもある。

夜勤に集まる中年男性スタッフたち

気づけば中年男性が六名

そこへ、別のホームのスタッフが鍵や社用車、食材を取りに立ち寄るものだから、気づけば中年男性が六名ほど。自己紹介をし合い、勤務内容を確認し、冗談を飛ばし合う。色気のかけらもないむさ苦しい光景なのだが、これがかえって新鮮で、妙におかしい。

スタッフのおじさん方(自分も含めて)は、みな副業としてここに来ている。週五で入る人から、週一で数時間だけという人までさまざまだ。私のように介護・福祉畑の人間が多いのかと思いきや、そうとも限らない。建築現場系、理美容系、個人事務所の経営者、元教師、持病(重度の糖尿病)を抱えた人──普段ならまず接点のない面々で、つい興味津々になってしまう(もっとも、夜勤はすぐ仮眠に入ることも多く、それぞれにやるべき業務もあるので、そう多くは語り合えないのだが)。

いやぁ、それにしても、と思う。軽度とはいえ精神疾患や障害のある入居者と関わるのが初めての人もいるだろう。料理も掃除もほとんどやったことのないおじさんスタッフだっているはずだ。みんな、ちゃんとできているのだろうか。できているなら、どの程度のレベルなのか。同世代として、正直なところぜひ知りたい。

ある夜勤の一晩

夜勤の食事の準備と配膳

夜勤は夕方から始まる。日勤の引き継ぎ、記録に目を通す──が、それは後回し。まずは「めし」だ。朝夕の食数は?、材料は? しっかり確認しておく。これを怠ると、いざ調理のときに慌てる羽目になると念を押された。

犬の散歩。人懐っこいワンだが、飼った経験0(ゼロ)の身にはなかなか手こずる。戻れば、日勤が仕込んだ夕食を温め直し、合間に翌朝の準備も進める。

そうこうするうち、サポートの夜勤者出勤!

片付け、大事な服薬、慣れない入居者との探り探りのやりとり。バタバタと消灯時間が迫る。みなが部屋に戻り、ホームがしんと静まると、朝食の仕上げと記録。ようやく22:00、一息。あとはサポートにバトンタッチし、夜食をとって仮眠へ。

仮眠をとる世話人

慣れない布団、知らない天井。

結局眠れないまま、まどろむうちに朝を迎える。

夜が明ければ、朝食準備、服薬、後片付けに洗濯、記録。もう急くことはないが、退勤時間までやたら長く感じさせる…。ようやく長い夜勤終了。太陽が眩しい。寝不足頭で帰路につき、「あ〜、メモしたことまとめないと‥無・理‥」とクラクラしつつもほっとするのだった。

女性専用ホーム、そして独り立ちへ

ホームは入居者ごとに男性専用ホーム・女性専用ホームと分かれている。おじさんスタッフとはいえ、女性専用ホームの勤務も任される。ただ、正社員さんいわく、女性専用ホームは男性専用ホームよりもクレームが多く、気をつかう場面が多いそうだ。

ん〜、と考え込んでしまう。ハラスメントにこれだけ敏感な世の中で、年代もさまざまな女性ばかりが暮らす場に、こちらも年代こそまちまちだが中年男性が世話人として入り、一晩を共にする。相手はどう感じているのだろう。気味が悪いと思われていないか。それとも、夜に誰かがいてくれるぶん、むしろ心強かったりするのだろうか。聞いてみたい気もするが、それを聞くこと自体が無神経な気もして、なかなか踏み込めない。

次回はいよいよ、女性専用ホームでのお世話。そして、ついに独り立ちである。

入居者の犬の散歩

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